Q&A
台風の被害を受けやすいのですが、瓦が飛ばないような工夫はありますか?
瓦はきちんとした工事がしていれば、台風の時に飛ぶようなことはありません。もし強風で瓦が飛べば、それは手抜き工事だった可能性があります。
少しでも崩れた葺き方をしていると周辺へと波及し、瓦が飛ぶ原因になるので、屋根面が一体化していることが重要です。瓦が風で飛ぶのを防ぐには、屋根下地に瓦をしっかり緊結する必要があります。もしも心配でしたら、台風シーズンが到来する前に一度、見てもらうことをおすすめします。
瓦は耐久性に優れていると聞きましたが、耐用年数は何年ぐらいですか?
瓦の種類により異なりますが、粘土瓦(一般的なの瓦のことです。)の場合、50年以上もちます。半永久的とも言われています。1400年前に作られた瓦が今でも使われているお寺もあります。これは特別なケースですが、瓦が高い耐久性を備えていることを証明する一例です。
軽い瓦はありますか?地震の事を考えると屋根が重いことが不安です。
地震によって家屋が倒壊する理由が、“重い屋根のせい”と考えると、このように不安な気持ちがうまれるかもしれませんが、“耐震”とはそれほど単純なものではないのです。家の耐震性チェックポイントはいくつかあります。代表例をいくつか挙げてみましょう。

■地盤(埋め立て地などは揺れが大きく、被害を受けやすいのです。)
■基礎・土台(基礎は最も力を受ける場所です。アンカーボルトでしっかり固定されているかどうかをチェックしましょう。また、白アリや雨水等によって、弱くなっていないかを見ます)
■建物の形(大きな開口部のある家などは、地震に弱いという特徴があります)
■耐力壁(耐力壁が家全体にバランス良く配置されているかどうかが非常に重要です。耐力壁は、タテ、ヨコの揺れに、大きな力を発揮します)

以上のチェックの上、はじめて屋根の重さの問題が出て来るのです。屋根は地震だけでなく、台風や直射日光などから家を守る大切な役割を担っています。従って一定の重量が必要です。「軽い瓦」といわれるものは、通常の瓦に比べて、せいぜい10%程度「軽い」だけですので、重量の差はごくわずかなものです。軽い瓦は、わずかな重量と引き替えに、ねじれの心配や強度を犠牲にしているわけですから、極端に軽い瓦はあまりおすすめではありません。
新しい屋根工事の国の基準「ガイドライン工法」について教えて下さい。
ガイドライン工法は「国の基準」というわけではありません。建築に関わる国の基準は、ご存知のように「建築基準法」です。普通の木造住宅はもちろん、超高層ビルにいたるまで、日本の建築物はすべて「建築基準法」に基づいて建てられています。この「建築基準法」が、1995年(平成8年)阪神淡路大震災で、多くの被害が出たことも影響して見直しが行われ、1998年(平成10年)新しい基準が出来たのです。2000年(平成12年)には、同施行令及び国交省の告示が出されました。同じ2000年には、関連する法律として、「住宅品質確保促進等に関する法」(品確法)が制定され、建築主である一般消費者が、安全で堅固な家を建てられるような基準ができたのです。

 「ガイドライン工法」とは、国が定めた新しい建築基準法の求める水準をどのようにしたらクリアできるかを、独立法人・建築研究所や瓦メーカーの全国団体(全国陶器瓦工業組合連合会、全国厚形スレート組合連合会)、瓦工事業者の全国団体(社/全日本瓦工事業連盟)が、様々な科学的実験を繰り返し、自主的に決めた基準です。よって、「国の基準」でありませんが、国の基準に準ずる工事基準といえるでしょう。
ここで、古い(1998年以前)建築基準法と、新しく制定された建築基準法の違いを紹介します。建築基準法の目的は、建築の安全性をしっかり確保することです。ただし、この「安全性」に関して、古い法律と新しい法律では、考え方が違っています。古い法律の屋根に関する項目では、「安全を確保するためには、こういう材料を使って、このように施工しなさい」ということがこと細かく決められていました。このような基準を「仕様規定」と呼びます。

「性能規定」とは、材料や工法は問わないから、大きな台風や地震が来ても大丈夫な屋根の工事をしなさい、というわけです。一見自由に見えますが、屋根業界にとっては、実は新しい建築基準の方がずっと厳しいのです。科学的なデータに基づいて、この屋根は、風速何十メートルに耐えられるか、震度いくつに耐えられるかの「性能」を持つ工事をしなければならないからです。